まずは
ざくっと試算!
相場費用
つかみ方

マンション大規模修繕を計画するとき、まず気になるのが費用です。
蓄えている修繕積立金は足りるのか。詳細な見積りの前に目処をつかみたいですよね。
今回は大まかな概算費用の考え方をご紹介します。

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    費用の目安は?

    そもそもマンション大規模修繕にはどのくらい費用がかかっているのでしょうか。近年の実績を確認すると、小規模マンションなら3,000万円くらいのこともありますが、大規模マンションになれば数億円に及ぶことも珍しくありません。建物の規模などによって工事費用はかなり大きく異なるのです。こうした相場費用から、自分たちのマンションの費用を推測するのは難しいように思えます。

    そんなときは、一戸あたりの費用に注目してみましょう。国土交通省が2021年に実施した「マンション大規模修繕工事実態調査」によると、1回目の大規模修繕工事にかかった費用は一戸あたり100〜125万円であったところが全体の27%と最も多くなっています。つまりこのデータを元に、一戸あたりの費用を125万円と考えれば、50戸のマンションなら125万円×50戸で6,250万円、100戸のマンションなら125万円×100戸で1億2,500万円という概算費用をつかむことができるのです。

    もちろん正確な費用は工事事業者に見積りを依頼しなければわかりませんが、このようにしてざっくりの費用感をつかむことで、現在の修繕積立金で次の大規模修繕工事がまかなえそうかアタリをつけることができます。ただし現在は社会情勢により、材料費、人件費の高騰が進んでいるため、その点には注意が必要です。

  • 工事別相場費用も
    チェック

    次に、どの工事にどのくらい費用がかかっているのかについても確認しておきましょう。これを押さえておくと、実際に各事業者の見積りを確認するときも役立ちます。前述の国土交通省の調査結果によれば、マンション大規模修繕全体(実施回数を問わず)で最も費用がかかっている工事は外壁塗装(24.5%)、次が床防水(18.6%)、屋根防水(13.4%)と続きます。

    外壁塗装にかかる費用の目安は、前述の一戸あたり費用から算出すると50戸のマンションでおよそ1,530万円、100戸のマンションでおよそ3,060万円程度となります。ただし、この数字はどのような塗料を使用するかで大きく変わります。一般的に安い塗料は耐用年数が短く、高い塗料は長くなるため、安い塗料は何度も塗り直しが必要になることからトータルで割高とも考えられ、費用対効果をバランスよく検討することが必要です。また、床防水、屋根防水においても同様に考えることができます。

  • 費用を抑えるための
    ポイント

    そして最も気になるのは、どうやって費用を抑えるかですね。まず大切なのは、複数の工事事業者に見積りを依頼することです。普段からマンション管理を委託している管理会社に大規模修繕工事を依頼すると検討の手間が省けてラクですが、相場より高い費用を請求されていてもなかなか気づくことができません。

    そこで面倒でもマンション管理組合が主体となって複数の会社に見積りを依頼し、その結果を皆さんで比べるようにしてください。その際に、このページでお伝えした相場費用を理解しておくと、「この会社は結構頑張ってこの価格を出してくれているな」など、それぞれの金額を見る一助になるかもしれません。また外壁塗装工事や防水工事などは建物の寿命に大きくかかわるため、検討の際には費用を抑えるだけでなく、自分たちのマンションに本当に必要な工事を専門家の助言を受けて選択することも意識してください。

    そのほか、助成金・補助金を活用するという方法もあります。各自治体がマンション大規模修繕の実施をサポートしてくれるケースがありますので、実施の際には自分のマンションが該当する助成金・補助金がないかを調べ、もし使えるものがあれば積極的に活用しましょう。このような視点を持っておくことで、マンション大規模修繕のトータル費用を下げることができ、住民の皆さんの負担を軽減することができるかもしれません。

この記事のまとめ

費用の目安は、一戸約100〜125万円。
各工事の相場感も大まかに知っておくことで
実際の見積り検討時に役立ちます。