

マンション大規模修繕では、実際に工事がはじまる数ヵ月前に、「居住者(住民)アンケート」が実施されます。その主な目的は、マンションの状態をより詳しく知ることです。施工会社は独自の詳細な建物調査によってマンションの劣化状況を調べ、不具合箇所を特定していきますが、これに加え、実際に住んでいる住民の方々に普段感じている問題点を共有していただくことで、修繕しなければならない箇所をより確実に見極めていくのです。 建物調査は検査に精通したプロが行うため、基本的に、重要な修繕箇所を見落とすことはありません。しかし、いくらプロでも外観や共有部分の調査がメインとなり、必要がない限り居住空間の中は確認できませんし、また、すべての外壁タイルを剥がしてコンクリートの状態を直に見られるわけではありませんから、目に見えない構造内部の小さな劣化などについては見つけられないこともあります。 そのため建物診断を行う専門家が発見できないような不具合を発見する有益な情報源として「居住者(住民)アンケート」が活用されています。満足度の高いマンション大規模修繕は住民の積極的な協力があってこそ実現できることをご理解ください。

しかしながら実際の大規模修繕では、工事がすべて終わって足場もすっかり外されたあとで、「そういえば、ウチの部屋の窓際の壁がいつも結露で濡れていて、カビが生えちゃってるんだけど…」といったお声が突然上がってくることがあります。 実はこの状況、単なる結露ではなく、外壁にひび割れが入っているために、「隠れ漏水」が起こっている状況が考えられます。外壁のひび割れから雨水が浸入すると、内部の断熱材や下地を湿らせ、最終的に居室内の壁紙やボードへ影響を及ぼします。隠れ漏水もまさに大規模修繕で改善すべき不具合にあたりますが、前述のように、タイルの内側のコンクリートの劣化は外側からは判断が難しく、工事終了後に発覚しても、外壁の状態を直接確認できる足場はすでに撤去されているため、修繕できないことがあるのです。 住民の方は「大規模修繕は共用部だけの話だから、部屋の中の不具合は関係ない」と考え、あえて遠慮して部屋内の不具合を事前アンケートには書き込まれなかったようです。たしかに大規模修繕が共用部を中心に計画されることは事実。しかし、この思い込みが、せっかく問題を解決できるチャンスがあるのに、それを逃してしまうことにつながりかねません。

居室内で起こっている不具合はどうしても、「自分の生活環境が原因かも」と思いがちです。カビや壁紙の剥がれなどは、「冬は結露しやすいから仕方ない」「換気不足のせいかもしれない」といった判断から、管理組合や施工会社に報告されないケースが非常に多く見られます。 しかし、住民が気づいていないだけで、それらの居室内の不具合は建物全体の異常を知らせる重要なサインという可能性もあるのです。ですから工事着工前に行うアンケートやヒアリングの際には、少しでも気になる点があれば報告してもらうようにしましょう。大規模修繕工事の範囲外だと思うことでも、まずは気になっている点をすべて共有し、対処するかどうかはプロの判断に委ねるという姿勢が大切です。 遠慮をなくすように、管理組合の方から住民の方へ積極的に声を掛けていただくことも有効です。また、工事着工前が対策を講じるうえで「最後のチャンス」であることも理解しておいてもらいましょう。居住者アンケートは劣化状況を知るという目的だけでなく、住民の皆さんに大規模修繕に対して参加意識を持っていただく上でも重要な機会ですから、ぜひ有効活用していただければと思います。

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