

2025年3月、公正取引委員会は首都圏のマンション大規模修繕工事において、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、マンション修繕大手やその子会社など約20の業者に対し、一斉に立ち入り検査を実施しました(翌月には調査対象は30社に拡大)。 公正取引委員会の調査によれば、これらの業者は、表面上は競争しているように見せかけながら、実際には事前に示し合わせ、受注する会社や受注額を決めていた疑いがあるとされています。これが「談合」と呼ばれる不正です。談合は数十年前から繰り返されていたと見られており、多くの報道機関は「ついに公正取引委員会が動いた」と報じました。そして業界最大手の企業まで調査対象となったことから社会を揺るがすニュースとなりました。 談合が行われると、マンション管理組合に対し、適正価格の10〜20%程度、ひどい場合にはそれ以上の水増し請求が行われます。大規模マンションでは工事に1億5000万円ほどかかることも珍しくありませんから、その場合、約3000万円が余分に計上されていることになります。住民の皆さんが大切に積み立ててきた修繕費用を悪質な業者に騙し取られてしまうことは、絶対に避けなければなりません。

談合が発生しているのは、多くの場合、「設計監理方式」のマンション大規模修繕のようです。設計監理方式とは、「設計・監理」と「施工」を別の会社に依頼する方式のこと。この場合、マンション管理組合はまず、自分たちをサポートしてくれる設計コンサルタント会社を選びます。すると、豊富な知識を持つコンサルタント会社が管理組合に代わって中立的な立場で施工会社を選定し、工事の監理も行ってくれるのです。 この方式は、一般的に管理組合の皆さんが苦手とする部分を専門家に任せることができるため、非常にメリットが大きく、マンション大規模修繕工事の約8割で採用されていると言われます。しかし、その便利さゆえに、ついつい「全部お任せ」になってしまい、そこが談合の温床になることがあるのです。 もしも悪意のある設計コンサルタント会社が選ばれてしまうと、彼らは公正に工事会社を選定するふりをしながら、選考に参加する施工会社すべての見積もりを予め裏側で調整し、決まっている施工会社が選ばれるように操作。そして相場以上の工事費用を管理組合に請求し、バックマージンを受け取るように仕組むのです。

では談合の被害を、どうやって防げばいいのでしょうか。一番に考えられることは、「設計監理方式」ではなく、管理組合の皆さんが直接、施工会社に設計から工事まで一括で依頼する「責任施工方式」を選ぶことです。この場合は談合のリスクを回避できます。しかし、施工会社の選択などを自分たちで行うため、手間のかかることが増えてしまいます。 それを避けたい場合は、「設計監理方式」で設計コンサルタント会社に頼りながらも、しっかりと経過をチェックすることです。まず設計コンサルタント会社を安さだけで選ぶのはやめましょう。破格の値段で採用を勝ち取り、談合のバックマージンで儲けるというのは悪質な業者の常套手段です。また設計コンサルタント会社が決めた施工会社選定の基準を一度、疑ってみてください。悪質な業者は、真っ当な施工会社が入札に入れなくするため、「資本金1億円以上」など自分たちに有利な条件を盛り込んできます。 そして施工会社から提出された見積りは徹底的にチェックしてください。業者には工事項目ごとの単価、数量、材料名などを明確に記載するよう強く求め、「一式」表記を避けさせ、可能であれば記載されている単価をチェックすることも大切です。最終的に談合を防ぐ一番の決め手は、マンション管理組合の皆さんが工事に関心を持ち、自分たちで見極めようとしている姿勢なのです。そのようなマンションでは、悪質な業者も簡単に工事費を水増し請求できなくなります。皆さんの積極参加で自分たちのマンションを守りましょう。

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