小修繕
なるべく控え、
大規模修繕を
待つべき?

ちょうど大規模修繕を検討し始めた頃、なにか突発的な不具合が発生すると、
大規模修繕時に一緒にメンテナンスするべきかと悩みますね。
ここでは多くのマンションで発生しているこの疑問にお答えします。

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  • #不具合
  • よく聞かれる
    マンションのお悩み

    例えばこんなケースを考えてみてください。マンションの雨樋の劣化により、ある階の共用廊下が雨の度に水浸しになるという事態が発生したとします。マンションは大規模修繕を1年後に控えており、そのタイミングまで待ってメンテナンスを行えば、工事にかかる費用は割安になることがわかっています。当然ながらその階の住民満足度は下がりますが、ほかの階の人たちには影響はありません。このような場合、理事会としてはどのように判断するのが正しいでしょうか。

    これはあるマンションの事例ですが、似たような事態は、多くのマンションで起こっているようです。特に最初の大規模修繕を検討する12〜15年目頃は、ちょうどあちこちの部材が経年劣化で傷みはじめる時期ですから、「この前あそこを修理したのに、また修理が必要なの?」と不具合が連続して頻発するのは自然なことです。しかもマンション管理組合の修繕積立金は、基本的に最低限の水準で行われていることが多く、想定外の工事に都度対応していると、肝心の大規模修繕のための費用が足りなくなってしまうことがあります。予算を慎重に使わなければと考えると、悩んでしまうのも当然と言えるでしょう。

  • 小修繕工事で
    即座にトラブル対応

    このような検討はマンション管理の難しい部分です。理事会は大規模修繕に合わせて工事を行い、修繕費用をできるだけ抑えることで、住民全員の経済的な利益となる方を選ぶか、すぐに小修繕を行うことで特に困っている一部の人の生活を改善する方を選ぶかを判断することになります。もちろんこの問いに正解はありません。

    しかし、マンション生活を長年見てきた私たちは、できるだけ小修繕で速やかに対策する方が得策だと考えています。第一に、一部の住民だけがガマンしている状態を放置しておくことは、その人たちの不満が募り、より良いコミュニティを継続していくという観点から大きなマイナスになることが考えられます。第二に大規模修繕の実施が1年後と決まっていても、その時期が何らかの理由でさらに先延ばしになる可能性もあります。そうなれば、一部の人の不利益はさらに大きくなってしまいます。

    出費を抑えるという点だけを見れば、大規模修繕と合わせて工事する方が良さそうですが、修繕積立金の金額に配慮しつつ、住民満足度を考えて「小修繕工事」で速やかに対応していくのがベストと言えるでしょう。

  • 基準は
    足場が必要かどうか

    もう1つの判断基準として、その修繕を行うために足場を組む必要があるか、という観点から考えることもできます。マンションの修繕工事において、足場を組む費用は特にコスト高の原因となるからです。例えば冒頭で例を出した雨樋の破損が、足場を組まなければ直せないという場合、不利益を被る階の住民に丁寧に説明を行って、大規模修繕のタイミングまで待ってもらうことも検討するべきかもしれません。

    また逆に言えば、それ以外の不具合は着手しやすいということです。例えば、ベランダを住戸ごとに仕切るパーテーションが割れたとか、屋上の防水シートが劣化して漏水が発生しているといった状況に対しては、基本的に足場を組む必要がないため、すぐに対策しても負担はそれほど大きくなりません。

    マンション管理のポイントはいかに一人ひとりの住民が不満なく、心地よく暮らせる状態を維持するか。そのために大規模修繕は重要なイベントですが、大規模修繕に照準を合わせて行動することが、誰かの快適さを損ねているのであれば、小規模修繕で対策されることをオススメします。

この記事のまとめ

大規模修繕を目前に控えていても、
突発的な不具合が起こった場合は
小修繕による速やかな対応も検討するべき。